
ペーパーレス化やDXが進む一方で、ビジネスの現場では依然として膨大な紙書類が存在し続けている。電子化すべきか、紙のまま保管すべきか、それとも廃棄すべきか——その判断には業務フロー全体を見渡した設計が求められる。
書類回収から電子化や保管、機密文書の溶解処理といったサービスをワンストップで手がける東武デリバリーは、こうした企業の課題に横断的に向き合ってきた企業だ。アーカイブ事業部 課長代理の松崎氏に、同社の沿革や強み、企業が文書管理を見直す際に押さえるべきポイントについて話を聞いた。
東武グループの運送事業を母体に、貴重品管理で培ったセキュリティ体制などを強みとしてアーカイブ事業を展開してきた東武デリバリー。電子化、文書保管、溶解処理をワンストップで提供し、企業の文書管理を横断的に支援している。本記事では、その沿革と強み、そして企業が文書管理を見直す際の判断軸を探った。
INDEX
柔軟できめ細かな電子化技術
――東武デリバリーの沿革と、アーカイブ事業を展開するに至った経緯を教えてください。
松崎:東武グループの運送会社の中でも現金輸送業務、テレビ局のVTRテープやレコード会社のマスターテープといった貴重品の保管・管理など、一般の運送会社とは異なる特色を持つ運送会社として1982年に創業しました。キャッシュレスの流れもあり、2017年に現金輸送業務は事業譲渡し、現在は文書保管などのアーカイブ事業に注力しています。
――2015年に電子化サービスを開始していますが、こちらはデジタル化やペーパーレス化といった時代のトレンドに対応したサービスとしてスタートしたんでしょうか。
松崎:そうですね。ただ、当社の本業の倉庫業では5拠点に倉庫がありますが、現状はいずれの倉庫もいっぱいに近い状態です。
――今もビジネスの現場では、紙の書類の管理・保管の業務が存在し続けていると。
松崎:そうした中で電子化サービスと文書保管サービス、文書溶解処理ボックスに共通する当社の強みとして、お客様から多く寄せていただく声としては、セキュリティ面が一番多いです。
ISMS(企業や組織が情報セキュリティを適切に管理する仕組み)を構築・運用していることを、第三者機関が審査・承認する国際的な制度)やプライバシーマーク(個人情報を適切に管理・運用している国内事業者を第三者機関(JIPDECなど)が評価・認定する制度)の認証を取得しており、お預かりした文書は24時間体制で警戒管理しています。
――電子化サービスに関しては、どんな特徴があるのでしょうか?
松崎:A1サイズの大判図面や裁断できない書類・図面も製本したまま電子化できるスキャナーを導入していますので、劣化した昭和時代の映画ポスターや和紙の古文書などにも対応できます。さまざまな事情や要望に応じて、柔軟にきめ細かい対応が可能なことも当社の特徴で、例えば電子化サービスでは写真データの色補正なども行っています。
紙のまま外部保管を選択する理由
松崎:とくに電子化サービスはご依頼内容によって、各工程のオペレーターの作業内容が大きく変わる分、単価も大きく変動します。なので、原稿の状態を確認して、実際の作業内容をご理解していただいた上で、見積もりを作成するという流れになります。
――電子化サービスの場合はオペレーターの手仕事も多く、人件費などが掛かってしまうことも少なくないんですね。
松崎:逆に紙のまま倉庫で管理する文書保管は当社の場合、1箱の保管料金は安価なのでコスト的なハードルは格段に低くなります。そのため、「電子化をせずに紙のまま外部保管に切り替える」「閲覧頻度が高い文書だけ電子化する」という判断をされるお客様も少なくありません。
――なるほど。
松崎:他社さんの外部倉庫だと、ユーザーが自らピックアップする手間が掛かる場合も少なくないため、他社の倉庫から当社の文書保管サービスへ切り替えるお客様もいらっしゃいますね。別途配送料が発生しますが、連絡1本で翌日には我々のスタッフが倉庫からピックアップして事業所までお届け可能です。
――祖業が運送・物流だからこそ可能なサービス内容だと思いますが、規模や業種・業態など、ユーザー企業の傾向はありますか?
松崎:都内に所在する企業規模100名前後ぐらいの会社が多いです。日本企業の8~9割が中小企業と言われていますが、弊社のユーザー様の比率もそのイメージで大きな相違はないと思います。オフィスの縮小・移転、フリーデスク化などによるオフィスのレイアウト変更を契機にお問い合わせいただくことが多い印象です。
業種を問わず広がるアーカイブ事業のニーズ
松崎:図面の取り扱いが多い製造業、処方箋など扱う薬局・医療系、受発注の伝票が多く発生する食品業界、自治体などの行政機関が比較的多い傾向はあります。ただ、どちらかというと会社ごとのカラーや実際の事業内容の影響が大きいようです。廃棄・溶解処理ボックスも含めると、アーカイブ事業のサービスには、業種・業態関係なく幅広い企業様からお問い合わせをいただいており、一概には言い難いです。
――では最後に、今お話にも出た「機密文書溶解処理ボックス」についても詳しく教えてください。どのような背景から導入されるケースが多いのでしょうか。
松崎:シュレッダーよりも効率的な書類の廃棄手段として導入されることが多く、電子化サービス以上に導入される企業の業種・業態は幅広いです。溶解処理した書類は100%リサイクルされるので、昨今はESG経営やGXといった文脈でご検討いただく企業様も多いです。
「CO2削減効果を簡単に報告できるようにしたい」というご要望も届いていますので、今後、前向きに検討していきたいです。
文書溶解処理ボックスのサービス以外には産廃処理の収集運搬の資格も当社は持っていますので、紙の書類・機密文書に限らず廃棄物全般をお預かりし、処分や廃棄証明書の発行を行っています。
――そのほか各サービスの展望として、新サービスの追加予定や付加価値向上に向けた取り組みで検討しているものはありますか?
松崎:現状、当社の倉庫では文書だけでなく、什器や備品類の保管・管理も行っていますが、取り扱いが特殊な機密製品のような物品の保管や配送もできる環境を整えていきたいと思っています。また、当社は電子契約サービスの『クラウドサイン』や画像や映像のクラウド型保存サービス『IMAGEWORKS』、ファイル送受信サービス「SECUREDELIVER」の代理店業務も行っているので、DX化の面からもお客様をご支援させていただければと考えています。いずれにしても、お困りごとを抱える企業様に寄り添いながら、今後もサービス向上を図っていきたいですね。
東武デリバリーでは、文書管理に関するコンサルティングから、文書の保管(ダンボール1箱からの可能)、電子化及び検索、保存期限の過ぎた機密文書の溶解処理までワンストップでオーダー可能です。