
紙·板紙の年間消費量は日本人1人あたり約183.6キロ(2022年度)。A4用紙に換算で約3万6,000枚に相当します。企業のバックオフィス部門で働く方々は日々、膨大な書類と格闘していることでしょう。
ビジネスの世界では、紙書類の保管場所や管理方法の見直しは、企業の生産性やコストの改善に直結する問題。そこで今回はオフィス環境の改善やBCP(自然災害やサイバー攻撃などの緊急事態を想定した事業継続計画)、コンプライアンス対応を見据えた“ファイリング”について考えます。
本稿では企業の生産性やリスク管理に直結する「ファイリング」の重要性を解説。書類管理が回らない会社の共通点として、現状把握の不足、分類ルールの不統一、保存·廃棄基準の曖昧さなどを紹介します。また、効率的なファイリングには検索性やセキュリティ、BCPを意識した継続的な運用も不可欠。“正しく残し、正しく捨てる”ファイリングの仕組みやルールを整えることで、業務効率化とコスト削減、企業価値の向上へとつなげていきましょう。
INDEX
ファイリングの基本的な考え方
ペーパーレス化や電子帳簿保存法への対応、リモートワークの普及などを背景に、企業の間では文書情報管理の関心が年々高まっています。
日々の事業に欠かせない、企業の資産でもある文書や書類。その管理の不備は情報漏洩や信頼毀損につながる可能性もあり、都市部ではオフィススペースの最適化も喫緊の課題です。今や文書管理の効率化は、企業の経営判断にもつながるテーマと言っても過言ではありません。
専門業者による紙文書の保管や電子化サービスの市場と需要が拡大を続けている一方、日々の業務の中で「まずは自分たちで整理してから…」と、後回しにされがち。また、その整理するにしても手順が曖昧で、何から手をつけていいか分からず、整理が進まないというケースも散見されます。
結果、どこにどんな書類や備品があるかわからない状態のまま、保管場所が逼迫し、管理・検索の手間が増えて、日常業務に影響を及ぼしている事態も、企業では珍しい話ではありません。
業態や規模に関わらず陥りやすい、こうした企業の課題を解決する上で大切なアプローチが、日々の業務で発生する書類を一定のルールに従い分類·整理するファイリングです。
ファイリングには「型」があります。紙·電子を問わず、「現状把握」「分類」「選別」「ラベリングによる管理設計」「保管」のステップに分かれており、各段階でつまずきやすいポイントも存在します。
まずは「とりあえず預ける」でも「完璧に分類する」でもない、現実的で再現性のあるファイリングの要諦を理解していきましょう。
書類管理が回る会社とそうでない会社の違い
効率的なファイリングの第一歩は、棚卸しと見える化による現状把握です。管理者が不明な棚や書類があったり、棚番号ごとの用途や箱の中身が明示されていなかったり。バインダー数や箱数などの書類量が把握できていない状態では、効率的なファイリングはなかなか前に進みません。
部署·用途·種類別の「分類」が不十分という問題も多く見られます。社内で統一された分類ルールが設けられていない、あるいはメンバー間でルールの共有·運用がなされていない。タグや色分けが識別しにくく、「その他」フォルダが乱用されていることもあります。
また、保存·廃棄·電子化の基準を明文化し、分類された書類を仕分ける必要があります。廃棄の判断基準として最もわかりやすいのは法定保存年限ですが、実際のバックオフィスの現場では「これは捨ててよいのか」「どこに入れておくべきか」と、判断に迷う書類も多いからです。
廃棄しない書類は管理番号·分類名·保存期限などを記載し、出し入れや検索が後々しやすいラベル情報についても考える必要があります。分類ごとの色や記号といった管理のルールが複雑だと、社内全体やメンバー間の共有がしにくく、業務効率化は実現できません。
最後は「保管」場所を考えること。しっかり整理された書類も使用頻度に応じたゾーニングができていなければ、省スペース化や省力化はあまり期待できません。外部の専門業者に預ける場合は、預け先の管理体制や廃棄·返却フローも事前にしっかり確認しましょう。
継続的なファイリングの仕組みを
企業のバックオフィスで働く方々がよく感じているファイリングの課題は、「検索性の低さ」「保管スペースの圧迫」「セキュリティとBCP上の懸念」「保管期限の管理の曖昧さ」の問題に集約されます。
ファイリングの実務では、「整理のルールがバラバラ」「保存年限がわからない」「廃棄してよいか判断できない」「保存した書類が後で探しにくい」ことが、最もつまずきやすいポイントです。
事業が続く限りファイリングに終わりません。整理した後も年次ごとの棚卸しや保存期限の確認、ルールの見直しを定期的に実施していくことも大切になります。
保存期限を過ぎても「なんとなく残す」運用や、担当者に任されて属人化する体制が課題となりがちだからこそ、実務で求められるのは“正しく残し、正しく捨てる”仕組み。「保存の仕組み」と「廃棄の仕組み」の両立です。
保存年限が過ぎた書類を廃棄できず、オフィスで山積みになっている状態は、不要な保管コストの増大と情報漏洩リスクを招く温床になります。ルールが形骸化し、担当者ごとに運用がバラバラだと、属人的な書類管理の業務になりやすく、異動·退職でノウハウが途切れるリスクもあります。
明確な保存ルールと仕組み化された管理体制を整えることは、単なる法令遵守のためではなく、業務効率の改善、コスト削減やリスク低減を同時に実現する“経営改善の一歩”。効率的なファイリングによって企業価値の向上を目指しましょう。
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